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戦闘メカ ザブングル』(せんとうメカ ザブングル)は、1982年(昭和57年)2月6日から1983年(昭和58年)1月29日まで名古屋テレビ・テレビ朝日系に毎週土曜日17:30 - 18:00で全50話が放送された、日本サンライズ制作のロボットアニメ。2008年11月13日よりANIMAXにて放送開始。
「三日の掟、泥棒、殺人、あらゆる犯罪は三日逃げ切れば全て免罪」―それが惑星ゾラと呼ばれる星の不文律だった。ロックマン(ブルーストーン採掘業者)、ブレーカー、運び屋、交易商人といった「シビリアン」達は、この掟を守って生きていた。
しかし、たった一人、この掟に抗った少年がいた。著名なロックマン「鉄の腕」の一人息子ジロン・アモスである。両親を殺したブレーカーのティンプ・シャローンを親の仇とし、掟の三日を過ぎても、なお追いかけ続けた。
ジロンと関わった者は知らぬうちに「三日で晴らせなかった因縁は全て忘れなくてはならない」という三日の掟を超えた意思を示し、彼の生き様は周囲を巻き込みやがてゾラの支配階級「イノセント」との全面戦争に発展する。
富野喜幸が名義を富野由悠季と改め、『機動戦士ガンダム』以来2年ぶりにTVアニメの監督としてこの時間枠に復帰した作品。その後、『機動戦士ガンダムΖΖ』まで5作品を送り出すことになる。
前番組『最強ロボ ダイオージャ』の頃には、『ガンダム』が支持される世相となっており、また、同じサンライズのリアルロボット作品としては『太陽の牙ダグラム』も始まっていたため、本作もこの影響を受けた。いきなり『ガンダム』のようなリアル路線では視聴者の抵抗が大きいと判断され、『ガンダム』と『ダイオージャ』の中間的な作風となった[1]。
当初は『エクスプロイター』という、鈴木良武・吉川惣司らを中心としたシリアスな宇宙物の企画として進められていた。富野が加わってからはキャラクターデザインなどを除いて一新され、「“西部劇のような世界”に“ガソリンエンジンで動き、自動車のようなハンドル(ステアリング)とアクセルペダルで操縦する巨大ロボットウォーカーマシン(以下WM)”が登場する、派手なロボットアクションを前面に出した作品」となった。
本作では宮崎駿の作品が意識された。本作のスタッフの仕事振りに不満を持った富野が「カリ城を見習え!」と檄を飛ばした(宮崎駿監督の『ルパン三世 カリオストロの城』のこと)[2]。出渕裕によると、同じく宮崎監督作である『未来少年コナン』からの影響が指摘されている。出渕によれば富野は宮崎のやっていることに憧れを持っていたそうである[3]。
作品そのものは非常に明るいコメディタッチで描かれている。また仇役であるティンプやホーラといったキャラクターたちにも何処か憎めないユーモラスさを持たせてあるなど、快活な印象を与えている。
「皆殺しの富野」との異名があるように、富野作品では登場人物が悲惨な形で終わるケースが多いが、本作は「“誰も死なない作品”とする」との決定の元に制作された。敵役ですら、通常であれば死亡するようなケースでも生存するものもおり、当時の富野作品としては異色となっている。
キャラクターデザインも独特であり、主人公・ジロンの顔はコンパスで描いたように丸くデザインされている(このためジロン・アモスは作中で「ドマンジュウ」「メロン・アモス」など、およそ主人公とは思えないようなあだ名で呼ばれている)。このデザインについて湖川友謙は、後に発行されたムック内では「前々から暖めていたものであり、必ずしもコメディを意識して用意したものではない」と語っていたが、その後の研究本では「コメディを意識して」と発言している。 また瞳の描き方も独特で、「虹彩のない単色の丸い瞳にハイライトの白線が斜めに一本入っているだけ」という単純なデザイン(通称「ネジ目」)となっている。なお主要キャラクターのデザインは、服装こそ世界観にあわせ大きく変化したものの、顔などは『エクスプロイター』の時から変化がみられず、当時から「ネジ目」だった。
本作は、単なるロボットアニメとは異なり、いくつもの新機軸と言えるアイディアを盛り込んでいた。
その一つに「主人公メカザブングルが物語の途中で破壊され、全く別の新型機ウォーカー・ギャリアに乗り換える」という、いわゆる「主役機の交代劇」がある。 それまでにも「『ゲッターロボ』(1974年)から『ゲッターロボG』(1975年)へ」など、主人公が機体を乗り換えるという事例はあったが、それらはあくまでも物語が一度完結した後での事だった。物語の途中で、しかも番組タイトルとなっている物から別のマシンへの乗り換えはロボットアニメでもエポックメイキングとなる出来事だった。これは、企画段階での変更により主役メカのデザインがどうしても世界観に馴染まないため行なわれた措置だった(アイアン・ギアーの項も参照)。この「主役メカの途中交代」は、後に多くの作品に影響を与えることになる。
なお、ザブングルは当初から2機が登場し、もう1機は他のキャラ(主にエルチ・カーゴ、ラグ・ウラロ)が使用して最後まで活躍するという、後にリアルロボットアニメの定番となった「量産型の主役メカ」に近い位置づけである。スポンサーのクローバーによると、2機のザブングルは合体する予定だったという[4]。番組後半はこの合体したザブングルの商品が投入される予定だったが、代わりに前述のギャリアが発売された。
また、ザブングルとギャリアを合成して再設計した新型WM・ブラッカリィが敵側の戦力として登場し、ザブングルやギャリアを苦戦させるという展開が見られる。更に、主人公達の乗艦である大型母艦アイアン・ギアーは同型艦が二度に渡って登場し、1隻目のグレタ・ガリーとの戦闘では、大破したアイアン・ギアーを捨てて乗り換え、2隻目ギア・ギアとは巨大WMに変形しての激闘を繰り広げている。
『ガンダム』において、人型のロボットが登場するためのSF的な理由付けがされたため、以後のロボットアニメにもそのような設定が求められるようになった。『ザブングル』では「破壊された地球から逃げ出した人々(イノセント)の“再び二本の足で大地を踏みしめたい”という願い」がその理由となっている。
用語
惑星ゾラ
「ヒトに良く似た人類が住むどこかの惑星」と思わせる描写が成されていたが、物語の後半に天変地異により荒廃した地球そのものであることが暗示される。
惑星ゾラを参照
シビリアン
ゾラの大地で暮らす人々。生命科学を駆使した人工人類で、後述の「人類再生計画」により、2度の失敗の後に作られた。生命体としてはほぼ完成されたと判断されており、現在は社会性の形成などに実験段階は進んでいる。しかしそのことは当のシビリアン達には知らされておらず、現在の状況に何の疑問も持たず生活していた。
三日限りの掟
シビリアン達の間に浸透しているもので、「盗んだものでも三日経てば自分のもの」という法律であり、これを破ったものは、後から撃たれても文句は言えない、とされる。イノセント側も同じとされるが、支配側であるイノセントがこれを守るのかは不明。
多くのシビリアン達はこれを受け容れていたが、イノセントのエージェントのティンプ・シャローンによって、両親を殺害されたジロン・アモスがティンプを仇敵として三日経ってもつけ回すようになり、そういったジロンのこだわりにより、三日限りの掟に疑問を覚える人々も増えていく。
そして、番組後半には、エルチを連れ戻そうとするジロンとファットマン、ジロンをつけ狙う洗脳されたエルチや、ジロンを仇として追い回すグレタ・カラス、エルチをものにしたいキッド・ホーラなど、完全に掟は無視され、忘れさられていた。
イノセント
ゾラの各地に点在するポイントと呼ばれるドームの中で暮らす人々。シビリアンには製造することが出来ない物資を支給してくれることから、援助をしてくれる絶対的な存在として認知されている。シビリアンには理解できない優れた科学力を持ち、その決定は絶対的なものと考えられていた。その実態は、天変地異により月面へ避難していた人々の子孫。地球が安定してきたことで再び地球に戻ってきたが、管理された人工空間で数世代もの間生活してきたために外的要因への耐性が極端に低下しており、対処をせずに地球の外気に触れると短時間で死亡する。そのため、ポイントと呼ばれる透明な半球状のドームの空間でしか生きられない。人類を再び地球に根付かせるために人類再生計画を実施しており、その実験で現在はシビリアンに、経済教育としてブルーストーン本位の経済を行わせている。また、シビリアンの社会に騒乱を引き起こすことによる社会性の進歩を観察している。
ロックマン
ブルーストーンという希少鉱石を採掘する人々、鉱夫。時々巡回してくる交易商人のバザーでブルーストーンを貨幣や金、コンピュータコアなどシビリアンでは造れない製品と交換し、バザーでにわかに出来た街で日用品を買い、次のバザーまでまたブルーストーンを採掘するという生活をしている。
ブレーカー
壊し屋。ウォーカーマシンなどを用いた戦闘から、強盗や殺人、用心棒など暴力行為を行う職種。交易商人に雇われている者が多い。なお、「日雇いブレーカー」というセリフはビデオソフト化の際カットされた。
運び屋
ランドシップによって各地を渡り歩き、開催するバザーによって収益を得る交易商人の総称。エルチの父、キャリングをはじめ、様々な人々がイノセントと繋がりを持ち、バザーでの収益で得たブルーストーンをイノセントに献上し、その代替えとして、ランドシップや、ウォーカーマシーン、さらにシビリアン側に売りつけるホバーノズルやコンピューターコアを入手する。
しかし、ランドシップにしても、ウォーカーマシーンにしても、ゾラの大気内では活動できないイノセント側には扱えない代物であり、この強力な力を持った機械をシビリアンに渡し、人類発達を目論むイノセント側の策略により、運び屋同士の抗争を起こさせていた。
イノセントはこういった運び屋達に新式の武器を持たせ、互いに潰し合わせるという事をし、それに気づいたのはビッグマンだったが、アイアンギアーのクルー達もそういったイノセント側のやり方に疑問を覚えていく。
サンドラット
砂鼠という名前を持つ少年、少女達の暴走族。リーダーはラグ・ウラロ。
ホバギーを操り、ロックマンやブレーカーを襲撃して生計を立てていたが、ジロン・アモスとの出会いによって全員の運命が変わり、アイアンギアーのクルーとなった後は、ゾラの覇権を巡って戦うグループの中核となっていった。
ブルーストーン
青い希少鉱石。イノセントはシビリアンに対しブルーストーンを上納させることで様々な生活物資を物々交換で与えている。それによりイノセントは経済社会を形成させ、経済教育を行っている。
視聴者からは物語の流れに強く影響を与えるものと見なされ、放映中から「ブルーストーンとは何か?」という論議が起った。劇中でザブングルの青色部分の装甲は一度も損壊していないことから、「ザブングルの装甲はブルーストーン製では?」といった推測もなされた。「水のあるところにはブルーストーンは存在しない」とのイノセントの教えに反しオアシスでブルーストーンを掘り続けるホッター老人が第7話で登場することから、ブルーストーンが環境回復の指標として利用しているのではないか、と推測する向きもあった。また、実際には誤りだが、シビリアンの間では「水のあるところにはブルーストーンは存在しない」が常識となっていたことから、それを求めてオアシスなどで安住せずにシビリアンの行動範囲を広げる意味も持たせており、擬似的なゴールド・ラッシュを起こすことで地球再生のための工業力や技術力の発展を促す意味があったとの解釈もある。
しかし、主人公一行のドタバタの影に、物語の後半ではその意義が隠れてしまっていた。実際にはそれ自体に価値は無く、入れ歯に使う素材として利用できる程度のものらしい。イノセントに価値があると教え込まされていたに過ぎず、イノセントにとっても人類再生計画の進捗のために利用していただけである。鈴木良武による小説版では、単なる変成岩の一種にすぎず、転用できる価値の無い信用通貨のようなもので、上納されたブルーストーンはシビリアンには知らされていないがこっそり廃棄されていたと語られる。
人類再生計画
「惑星ゾラ=天変地異で荒廃してしまった地球を人類が再び踏みしめる」という目的で実施された計画。惑星ゾラに適応できなくなってしまったイノセントに代わって再び地上に人類を根付かせようとして行われていた。三日の掟も、自意識に目覚めたシビリアンにより自発的に覆されることを前提にした人類再生計画の一部だった。
シビリアンはこの計画に基づいて、イノセントによって人工的に作り出された新人類である。それ以前にはトラン・トランとハナワンという二つの種族が作られたが、前者は知能が低く粗暴であり、後者は高い知能を持つが身体的に順応性が低く日光にも拒絶反応を示す体質だったことから、計画には不適と判断されゾラの大地の片隅に追いやられてしまっている。なお、トラン・トランに関するセリフで「知能が低く」のくだりは、後の再放送やビデオソフトではカットされている。
人類再生計画の完了は、地球の支配者の地位をイノセントが新人類に移譲することを意味する。順調に計画が進んだシビリアンを目の当たりにしたイノセントには、計画の進捗を快く思わずに妨害する勢力も存在する。そういった一派は後に拉致してきたエルチ・カーゴを被検体として、洗脳技術も生み出していった。
ソルト
シビリアンの中で、イノセントの支配体制に疑問と不満を持ち、そのイノセントを倒し、シビリアンによる自由と独立をスローガンにして生まれた組織。リーダーはカタカム・ズシム。
イノセントの人々は本来、シビリアンが新しい地球に適合する生命体という判断が成された場合、自身も生体改造して新しい大地に立つ事が目的だったが、イノセントによる長年のゾラ支配により、そういった初期の目的に従う事に恐れを抱いたカシム・キングら、イノセント内反主流派によるシビリアンへの締め付けが激しくなっていった事で生まれたと思われる。
尚、カタカム・ズシムの後にはジロン・アモスをリーダーとし、そしてソルトは団結した組織となった。これによりシビリアン側の攻勢によって、イノセント側も地球の支配交代を余儀なくされるようになっていった。